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エレベーターと厨房  Un tiroir dans le parfum [香りの引き出し]

香りの引き出しにそれぞれの「想い」を仕舞っておきましょう。


【春の蒼い頃にエレベータのニオイ】

今、思い出してみると散々歩いてた頃だった。

青山(外苑前)のバイト先にいくのに、渋谷で降りて街を彷徨いながら行くのが常で、

どちらかというと、青学側よりも紀ノ国屋側を好んで散策したけど それはやっぱり

「紀ノ国屋」にふらっと寄るのが好きだったから。

今は仮店舗で反対側にあるけど、あの頃はまだ昔のあの角にあって、

私は入るなり、珍しい野菜や果物を鑑賞した後、乳製品を愛でる。

知らないチーズの名前を復唱したりしながら、肉コーナーまで来る。

そして左に折れてぐるっと廻りこみ、

乾物やスパイス、ライ麦パン用の粉や変わったパスタを見るのがいつものお決まりだった。

一階の仕上げは冷凍棚と日本茶の一角。

買わないのは分かってても、「好きなモノはとことん追い詰める」という、自分の性格のようで

品物チェックはほぼ全フロアに及び、毎回店内全部を包囲しないと気が済まなかった。

 

それから、二階へ。

二階へ行くんだけど・・・エスカレーターという手段は無くてエレベーターオンリー。

逆に降りるのはエレベーター無くて、エスカレーターオンリー。

そういう手段しか許されない、選択肢のない、今想うとちょっと不思議な感じ。

そういえば、レジが二階にしかなかったから、一方通行になっていたのかもしれない。

 

エレベーターには静かな感じのお姉さんがいて、いつも丁寧に案内してくださった。

「密閉された選択肢のない空間」は、なんだかミョウに緊張したのを覚えてる。

そこはいつも特別に機械の潤滑油かなにかのニオイが強く充満してて、

さっきのたくさんの色めいた食べ物たちのいる場所との違和感に、緊張が増幅される。

紀ノ国屋って高級スーパーだけど、

品物がある場所は全然ダイジョウブなのに、

このエレベーターの場所だけが、無用な緊張を一気に背負ってるという感じだった。

「このお姉さんはこのニオイを一日中嗅いでいるんだろうか?」

そんなことをお姉さんの襟足を見ながら考えるけど、ミョウな緊張はドアが開くまで続く。

大したことない二階までの時間なのに、モノスゴく長く毎回思えた。

ヘンテコな話なんだけど、何回行っても何年経っても同じ緊張がここで味わえた。

 

「チン」

可愛いけど素っ気無い感じの音色で、エレベータは着いたことを知らせてくれる。

「解放された」 そう思うと、一気にアドレナリンが放出される。

何故なら、ドアが開けばそこには色んなおいしそうな香りが待ってるのを知ってたから。

世界中の珍しい種類のパンが、降りて右手奥にたくさん並んでて、視覚にも嗅覚にも嬉しかった。

いまでこそ結構アタリマエなパニーニだって、どこにも売ってない頃からここにはあったし、

アラブとかフィンランド、デンマークとかの、滅多に見られないパンもあった。

そして、中ほどには食べたことのないお菓子たちが大挙して待っていて、

その奥には未開拓の魅惑的なワインにリキュールたち!

まさに、ここは私の食に関する楽しいお勉強部屋だった。

   

 

【 香りをまとったキミ 】

バイト先には、岩手出身の目のキラキラした、ひとつ上の青年がいた。

自分も地方出身者だけど、

都会の人は目に膜がかってるように思えてた頃だったから、なんだか新鮮だった。

彼は本当に屈託のない笑顔をする人で、

「この人にはきっとウソがつけないなぁ」と、勝手に自己暗示をかけてた。

一度、どういうわけか一緒に青山のベルコモンズの裏手の神社のお祭りに行ったことがあった。

すごく楽しかったけど、色気も素っ気もない話の内容で、

笑った記憶しかない。

確か・・・彼の家が農家で、飼っていたヤギがバカで仕方なかったという話だったような。

帰り道、あんまり彼が笑わすものだから

ブルックスブラザースの前で、笑いすぎてお腹が痛くてしゃがんだのは覚えてる。

バイト中でも、お店が空く時間になると、何かとこっちに来ては笑わせてくれていた。

飲食店のバイトだったので、彼はコックコート着てたけどそのニオイもよく覚えてる。

厨房の色んなニオイがしてた。

急に思い出したオモシロイ話したくて、さっきまとったばかりの芳ばしい香りと一緒に、

満面の笑みでこっちに向かってくる・・・

あの笑顔は今でも厨房のニオイと一緒にハッキリ思い出せる。

 

不思議なもので、機械油のニオイ・厨房のニオイ、どちらかを嗅ぐと

一気にあの頃の情景が糸を手繰るようにズルズルと出てくるときがある。

 

ニオイの記憶は、一緒に色んな想い出も入ってる。

何の前触れもなくしてきたニオイや香りに、

記憶が蘇る前にザワザワとキモチだけが揺れる時だってある。

そして、結局どういう香りなのか、どんなときになにがあったのか、

なんとなく思い出せないまま、引き出しを閉めてしまうことも、度々。

「古代蓮」の種が、永い眠りを経て見事に咲いているのをみると、素直に浪漫だと思う。

そして、自分の眠ってる記憶の中から ふとしたニオイで鮮やかに当時に連れ戻されるのを、

こっそりと 心の奥で期待したりしているときがある。

19歳の春に仕舞ったこのニオイの記憶は多分、一生消えない。

 

 一枚目写真・カラータピオカ

下・左 カモミールティー・メイプルティー・フォションのアップルティー

  中 ワイン/ ベルデッキオ・リースリング

  右 モラセスライト・ヘビー二種・ショートニング・ポピーシード


【 Un tiroir dans le parfum  】

香りの引き出し・・・として、カテゴリーを増やそうと思います。

それは香りの想いにまつわるいろいろな話。

たまーに、こうして覚書のように書いていこうかと思っています。

暇があったら、読んでいってくださいね~ (´・ω・`)ノ

 

それと、ずっと前に買ったのになかなか手を付けられなかったソフトさっき読ませました。。。

ペンタブに慣れるまで、どのくらいかかるんだろな。

とりあえず、習作。

 

肩にかけた大きなバックの中、サイフ探してるキャミのおねぇちゃん。タバコ吸ってるのは開高健さん・・

(-ω-;) さっきはじめたばかりなので、なんかまだ手探りの段階です。


週末ちょっとバタバタしておりますので、コメント欄閉じますね。

それと、一部押し逃げご了承を。

時間できたら、また戻ってコメントできるかも、です。 (´・ω・`)b

 


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